加工の第一歩は、工場に納品された鋼材を検査することから始まります。
鋼材は切断面が角型・H型・丸型・薄型・L型などの形鋼があり、板状の厚板や薄板など、さまざまな種類があります。どの鋼材も規格証明書がついてきますが、工場では、材質や品質などを厳しくチェックしていきます。
鋼材は、直線・曲線・ねじれと変幻自在に加工することができ、安定した弾性剛性を持つ優れた材料です。その素材を施工図通りに鉄骨製品へと加工していきます。
まず、金属表面に付着している黒皮錆や熱錆や異物を除去し、塗膜性能を効果的に向上させるショットブラスト処理を行います。次に鋼材は、コンピュータ制御の切断装置で精巧に自動切断されます。工作図の寸法を設定し、特殊鋼の帯鋸で高精度に切断します。
切断された鋼材は、通常"穴開け"と呼んでいますが、穿孔装置を用いて所定の位置に所定の穴径ドリルで"穴開け"加工をします。鉄鋼と鉄鋼をつなぐためのボルトを通したり、設備配管や配線のための孔明(あなあけ)加工になります。また、曲線を持つ建物の場合には、形鋼や板を"曲げ加工"します。
続いて、溶接する前に鋼材・鋼板の角や面を斜めに切断(切削)する開先加工を行います。
鋼材を開先加工をしないで溶接を行おうとすると、溶材が鋼材の裏側まで浸透せず、鋼材の一部しか溶接することができません。これでは溶接後の鋼材の強度が弱く、簡単に折れてしまいます。強度が必要とされる建築構造物のためにも、開先加工は、とても重要な加工技術なのです。